ペアリングワイン

ジビエとよく合う冬に飲みたいバローロ5選

イタリアを代表するワインの一つである「バローロ」。使用する葡萄品種はネッビオーロのみ。同じフルボディでも、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズのような重厚感とはまた違う、芯の通った力強い堅牢さが特徴です。

生産するのは、トリノを州都とする北イタリア、ピエモンテ州。白トリュフの産地としても有名なアルバの近くの、バローロ村を中心としたエリアがこの素晴らしいワインの生まれ故郷です。

しっかりとしたミネラルとタンニンが持ち味のバローロは、山間で狩猟されるジビエ料理と抜群の相性をみせてくれます。日本で禁猟規制のあるジビエ肉を楽しめるのは、11月15日から2月15日の間だけ。そして年が明けると繁殖期を過ぎた四つ足(鹿や猪など)よりも野鳥(真鴨や山鳩など)が美味しいです。

今回は、シーズン後半の鳥類ジビエによく合う、おすすめのバローロをご紹介します♪

ジビエって何だっけ?

この記事を読んでいる皆さんには説明不要かもしれませんが、「ジビエ」とは、ハンティングで採取した野生の鳥獣の肉を表す言葉(フランス語)です。

狩猟ができるのは、自分の領地を持っているような貴族や領主だけだったので、かつてのイギリスやフランスなどでは高貴な食材として扱われてきました。

家畜のように飼育数をコントロールできるようなものではない為、希少なジビエは今も高値で取引される事もあります。

日本で許可されているジビエは、野鳥が28種類、野獣が20種類。あなたはどんなジビエを口にしたことがありますか?

生命力溢れるジビエは、厳しい冬を越すためのエネルギーを与えてくれます。

自然の中で動き回った肉はしなやかに引き締まり、最適な脂が蓄えられていて、食べているものも様々なので味わいも複雑。合わせるワインも深みがあり、要素を数多く感じられるものとの相性が良いんです。

バローロをざっくり2つに分けましょう

さて、ジビエにおすすめするバローロは、バローロの生産エリアの東側からセレクトしていきましょう。

なぜ、東側なのか?バローロのエリアは、西側に比較的新しい地層と東側に古い地層とに分かれています。この年代の異なる地質が、出来上がる葡萄、ひいてはワインの味わいにも影響を与えます。

ちょっとマニアックな話になると、1300万年前のランギアン期に起源を持つ東側の土壌はマンガンや鉄分を多く含んでおり、その土地で育てられた葡萄のワインは複雑かつ、しっかりと堅牢な味わいになります。

そう、つまり身が引き締まって味が濃く、複雑なジビエのお肉にピッタリなんです。

今回おすすめするのは、東端に位置し、バローロの中でも最も厳格で長期熟成のポテンシャルを持つとされる「セッラルンガ・ダルバ村」のワインです。

「セッラルンガ・ダルバ村」のおすすめバローロ

バローロ セッラルンガ ダルバ フォンタナフレッダ

創業は1858年。バローロというワインを語る上で外せない生産者の一人、フォンタナ・フレッダのフラッグシップともいうべきワインです。

くっきりとした骨格の中にあるよく熟した果実感と、なめらかな飲み口。バランスが良いので、比較的どんなジビエともグッドバランスを見せてくれる優等生です。

カッペッラーノ バローロ・オッティン・フィオリン ピエ・ルペストリス・ネビオリ

伝統的な大樽熟成の、繊細で深みのある味わい。こちらも100年続くセッラルンガの老舗で、フレーバーワインの「バローロ・キナート」を発明したことでも有名です。透明感と旨味が特徴的で、白身のジビエである山ウズラと○。

バローロ デル コムーネ ディ セッラルンガ ダルバ スキアヴェンツァ

化学肥料や農薬は一切使わない、年間生産4万本のみの実力派。自然由来のものだけでワイン造りを行なっています。

生まれるワインは和食ともマッチングできるような緻密で繊細なタンニンが印象的。シギや小鳩などの小さなジビエと合わせたいバローロです。

バローロ プラポ エットーレ ジェルマーノ

150年以上続く老舗ですが、高品質なスパークリングの生産に着手するなど、挑戦を止めない素晴らしい生産者でスティルのシャルドネも逸品です。

しっかりとしたタンニンが心地良いクラシックな伝統的バローロで、硬質な鉄分と豊潤な果実味を感じます。ボリューム感と合わせて、真鴨や青首鴨のローストが良いですね。

バローロ セッラルンガ ルイジ ピラ

ドライでスパイシー、バローロのクラシックなテイスト。彼らの所有する「ヴィーニャ・リオンダ」という畑は、この地区のグラン・クリュとも言われています。

やや寝かせて複雑みを増してから食べられることの多い、キジなどがお薦めです。

ネッビオーロはロゼも美味しいから飲んでみてください

バローロは、そのキャラクターの性質上、お家で楽しむというよりは外食向きだと思います。ジビエ料理もご家庭では難しいと思いますので、レストランでお食事するときにペアリングするのがオススメです。

少し予算が合わないな、という方には同じ生産者の「ネッビオーロ・ダルバ」「ランゲ・ネッビオーロ」を探してみてください。バローロよりも熟成期間が短く、パワフルさには欠けるものの、充分にその魅力は感じられるかと思います。

このエリアではロゼも造られています。ふわりと軽いタッチをしたものから、ドライで食事を呼ぶようなものまで、クオリティの高いおすすめしたいものが沢山あります。こちらはまた機会がありましたらご紹介しますね。

それでは、秋冬の味覚をワインと一緒に存分に楽しんでください♪

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村上 潤

株式会社クインディ 代表取締役/winetango公式ワインディレクター

都内や地元横浜のインポーター、レストランなどで研鑽を積み、2013年イタリア全土の数々のワイナリーを巡る旅へ。
各所のワインイベントに精力的に参加。自然体でワインと暮らす人々との出会いをきっかけに複雑に見えるワインを楽しさと共にシンプルに伝える事を目指す。
帰国し「ヴィノテカ・サクラ」で店長兼シェフソムリエとしての通算9年の勤務を終えた後、対面接客で伝えてきたワインの楽しみ方をより多くの⼈に伝えていくためワイン通販システム「winetango」を始動。2021年、飲食店の総合支援を目的とした株式会社クインディ設立。 村上 潤の記事一覧 

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