2021セントラルオタゴ若手醸造家コンペティションに輝いたワインとは?
2015年にスタートし、今年7年目を迎える「ニュージーランド若手醸造家コンペティション」。30歳以下の若手醸造家にフォーカスし、醸造に携わるさまざまな項目の知識や技術を競う大会です。
ノースランド(ホークスベイ)、マールボロ、セントラルオタゴの3地域からファイナリストを選抜し、最終的にその年の最優秀若手醸造家を決定します。
今回は、9月に行われたセントラルオタゴ地域のコンペティションに注目して、大会の様子や実際にセントラルオタゴ部門の優秀賞に輝いた醸造家についてご紹介していきます。
ニュージーランドワインに少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
ニュージーランド若手醸造家コンペティション
若手醸造家コンペティションは、将来を担うニュージーランドのワイン業界のリーダーを発掘し、支援することを目的としています。年に一度行われるこの大会は、若手ワインメーカーが成長し、キャリアを伸ばす素晴らしい機会となっています。
大会では、ワイン製造プロセスに必要な幅広いスキルと知識についてテストします。ブドウ栽培の知識、試飲分析、健康と安全などのワイン醸造に関する知識に加え、プレゼンテーションスキルやマーケティング知識まで幅広く問われます。
ワイン樽を上手に移動させるワイン樽転がしなど、ワイン醸造に欠かせないユニーク(?)な能力も問われます。
全国大会の勝者には、特注のミニフレンチオーク樽トロフィー、フランス・ブルゴーニュ地方への研修のチャンスを含む豪華な賞品パッケージが授与されます。そして翌年の新世界ワイン賞で準審査員になる機会も手にすることができます。
例年は観客が入り活気がある大会ですが、今年はコロナ禍のロックダウンの影響もあり、人数を制限・感染対策が取られる中開催されました。
2021セントラルオタゴ 若手醸造家コンペティション最優秀賞
セントラルオタゴ大会は、9月16日に南島の「クロムウェル」で開催されました。なんと、今年のセントラルオタゴ大会の参加者8人中7人が女性でした!ニュージーランドでは、ワイン産業においても女性の活躍の勢いを実感します。
今年のセントラルオタゴ大会の最優秀賞は、Valli Vineyardのアシスタントワインメーカーとして働くジョーダン・モーア(唯一の男性参加者でした)。
ニュージーランドの首都ウェリントン出身のモーアは、両親のワイン好きも高じて幼少期からよく家族旅行でワイナリーを訪れていました。その影響もあり、農業に興味を持ったモーアは大学で微生物学を専攻。
その後、EIT(イースタン・インスティチュート・オブ・テクノロジー)でワイン醸造学のマスターを取得し、南アフリカでワイン醸造の経験を積みました。
海外でキャリアを築いたのち、ニュージーランドへ帰国し、セントラルオタゴのパイオニア的存在・フェルトンロードワイナリーで3年間醸造経験を積みました。現在はヴァリヴィンヤードで醸造家としてのキャリアを積んでいます。
特に神秘的なセントラルオタゴのワイタキ地域に魅了され、現在はこの地でのワイン造りに多いなる可能性を感じています。今後のセントラルオタゴを担う醸造家として、ますます注目を集めそうです!
そして、2位に入賞したハンナ・リー(上写真左)についても少し紹介させてください。ハンナは、産休中にこの大会に参加しました。大会当日、ベビーシッターにわが子を見てもらいながら、競技へ参加し、優れたワイン造りのスキルと知識だけでなく、子育てとのマルチタスクのスキルで審査員に感銘を与えました。本当に驚くほどのバイタリティの持ち主です!今後の彼女の活躍にも注目です。
最優秀賞に輝いたジョーダン・モーアが携わるワイン
昨年までモーアが勤めていたフェルトンロードワイナリーと、現在勤めるヴァリワイナリーからそれぞれワインをご紹介します。
【Felton road】
ニュージーランド ピノ・ノワールの世界的評価を押し上げた第一人者といっても過言ではなく、この地でワイン造りのパイオニアとしても知られるフェルトン・ロードです。今回最優秀賞に選ばれたモーアをはじめ、多くの醸造家がここフェルトン・ロードでキャリアを積んでいます。
▶︎Felton road Bannockburn Pinot Noir
・原産国:ニュージーランド
・産地:セントラルオタゴ / 南島
・品種:ピノ・ノワール
・容量:750ml
このワインの価格を安いと思うか高いと思うかは、是非実際に飲んで決めて欲しい!とおススメしたくなるセントラルオタゴを代表するピノ・ノワールです。
ブラックチェリーやプラムの果実に、ナツメグなどのスパイスのニュアンスも感じられます。味わいは、非常に豊かな果実味に滑らかなタンニンが加わり、余韻まで長く続きます。
ワイン単体の香りと味わいを堪能したあとは、是非、ラム肉のグリル(ラムがなければ牛肉の赤身肉のステーキなど)とのペアリングをおススメします。
▶︎Felton Road Bannockburn Riesling
・原産国:ニュージーランド
・産地:セントラルオタゴ / 南島
・品種:リースリング
・容量:750ml
フェルトン・ロードは、このリースリングでも高い評価を受けています。白桃や蜂蜜を思わせる甘美な香りに、シトラス系の爽やかなニュアンスも感じられます。
口に含むと、生き生きとした酸や、果実の甘みを同時に感じられます。食中酒として、サラダや前菜との相性はもちろん抜群ですが、食後に桃や梨など季節の果物と合わせても楽しめる味わいです。
【Valli Vineyard】
Valliワイナリーの創設者であり、醸造責任者でもあるグラント・テイラーは国内で最も受賞歴の多いワインメーカーとしても知られていて、モーア同様フェルトン・ロードで修行を積みました。現在では、国際ワインコンペティションで名の知れたワイナリーとなりました。
▶︎Waitaki Pinot Noir Valli Vineyard
・原産国:ニュージーランド
・産地:セントラルオタゴ / 南島
・品種:ピノ・ノワール
・容量:750ml
ブルーベリーやカシスの果実味に、オークやマッシュルームのような樽のニュアンスも感じます。力強いアロマと反し、口に含むと滑らかな飲み口に驚きます。ジューシーな果実に、シナモンやカルダモンのようなスパイスを感じさせる複雑さもあります。
ワイン単体でも十分楽しめますが、食後にビターチョコレートやトリュフなどと合わせると贅沢なペアリングになること間違いなしです!今、このワインを味わうのが勿体ないと感じてしまう程のポテンシャルの高さが感じられます。
▶︎Waitaki Riesling Valli Vineyards
・原産国:ニュージーランド
・産地:セントラルオタゴ / 南島
・品種:リースリング
・容量:750ml
ギュッと絞ったライムに、レモングラスのような爽やかな香りが広がります。ワインをひとくち飲むと、柑橘系のフレッシュ感と、レモンピールのようなほろ苦さ、ミネラル分があり、中程度のボリュームが感じられます。
酸味とミネラル感のバランスが良く、エレガントな印象です。カルパッチョや魚介のサラダ、生春巻きなどの少しエスニックな料理にもおすすめです。
おわりに
今年の全国大会は11月26日を予定しています。今回ご紹介したモーアの全国大会での様子を含めて、また改めて結果をお伝えしようと思います。決勝までに、是非ご紹介したセントラルオタゴのワインを味わってみてはいかがでしょうか?
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・ニュージーランドのワイン産地を巡る旅~南島前編~
【お家で楽しむワイン提案のワインエキスパート】
ニュージーランドワイン好きが高じて、ワイナリー・ブドウ畑巡りをする為ニュージーランドへ移住。
都内ワインインポーターにて星付きレストランにもワイン紹介をしてきた経験を活かし「お家でも気軽に楽しめるワイン時間」を提案しています。
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